アイヌの人々2 自然寵児、アイヌの人々

アイヌの人々2
自然寵児、アイヌの人々

「銀の滴降る降るまわりに、金の滴降る降るまわりに」という冒頭の一節であまりにも有名な、知里幸恵の『アイヌ神謡集』。アイヌ文学の精華といえるこの著作の序を、彼女はこう書き始めている。
「その昔この広い北海道は、私たちの先祖の自由の天地でありました。天真爛漫な稚児の様に、美しい大自然に抱擁されてのんびりと楽しく生活していた彼等は、真に自然の寵児、なんという幸福な人だちであったでしょう。」と。

阿寒湖の近くにはアイヌの人々の集落(アイヌコタン)があり、自然とともに生きてきた人々の生活や伝統文化にふれることができる。「カムイありて我あり、我ありてカムイあり」エカシ(長老)やフチ(おばあさん)の語りを通して、アイヌの人々がいかに自然=カムイ(神々)を敬い、共存してきたかをあらためて知る。国の重要無形民俗文化財に指定され、2010年にユネスコの世界無形文化遺産に登録されたアイヌ古式舞踊には、狩猟や遊びの所作とともに、里の神(コタンコロカムイ)のシマフクロウや山の神である熊などをまねたさまざまな踊りが登場する。有名な「イオマンテ」とは、熊の霊を神の国へ送るアイヌの大切な儀式である。

「イオマンテの火まつり」は阿寒湖アイヌシアターイコロで行なわれる。たいまつの炎が燃えさかる中、口琴(ムックリ)の音色が妖しく風に舞い、「アララッサオ ホイヤオー、ホイヤッサオ ホイヤオー」「ヘッサラ フンフン、ヘッサラサウッサラ フンフン」と、男女が歌い踊る迫力は圧倒的だ。W・ベンヤミンによれば、「最古の芸術作品は、儀式に用いるために成立している。最初は魔術的な儀式に、ついで宗教的な儀式に用いるために」。五感で体験するアイヌ文化の響宴に観衆が震えるような思いで立ちつくしているのは、晩秋の風のせいだろうか、それともそこに神々の存在を垣間見たせいだろうか。

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