阿寒湖の魅力1 森の声、湖の声。

阿寒湖の魅力1
森の声、湖の声。

早朝の森を歩いている。広葉樹のみずみずしい若い葉の間から木漏れ日が降りそそぐ。うっそうと茂る真夏の季節とは比べるべくもないが、それでもエゾマツやトドマツのまわりは緑のグラデーションが鮮やかさを増し、森の濃さを実感する。いま歩いているのは「ボッケ散策路」という小道で、阿寒湖の岸辺に沿って伸びている。人気のないことを幸いに両手を広げ大きく深呼吸すると、濃密な原始の森の空気とともに大小無数の生命の息吹きが肺を満たした。

「ひとりで散歩かい? 話し相手になってやろうか」突然エゾリスが言った。 「やめとけ、やめとけ。俺たちはニンゲンみたいにヒマじゃないんだ」とクマゲラが言った。ミズナラの木の上から木彫りのようなフクロウが微動だにせず、そのやりとりを見下ろしていた。エゾリスはそれでも枝から枝へ飛び回りながら付かず離れず、もちろん付いてくるわけではなく勝手にエサを探しているのだ。 不意に視界がひらけ阿寒湖が姿を現した。さざ波ひとつない鏡のような湖面の下にもさまざまな生命が息づいている。ヒメマス、アメマス、ニホンザリガニ、スジエビ、特にヒメマスはここ阿寒湖が原産地である。「遠い遠い昔、ここにベニザケが陸封された。それが私の祖先である」とヒメマスは言った。そして、「私には祖先はいません」と水底でささやいたものこそ、奇跡によって誕生した阿寒湖の宝石、マリモだった----------。

散策路を1時間あまりぶらぶらして宿にもどってくる。観光客でにぎわう温泉街を目にした途端、「先ほど見聞きしたものは何だったのだろうか」と、時空のあまりの落差に軽いめまいを覚えた。森と湖にいだかれた神話的世界と舗装された道路の現実世界がドア一枚でつながっている、それが阿寒湖だ。

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