インタビュー

川湯温泉地区旅館役員、(社)摩周湖観光協会理事
榎本 竜太郎Ryutaro Enomoto

川湯温泉の宝物、 硫黄泉と自然とともに。
摩周湖と硫黄山の恩恵 全国的に希少な泉質

摩周湖エリアを代表する温泉地、川湯温泉で温泉と自然を愛し、これからを見つめる人がいる。地元温泉旅館の役員で、(社)摩周湖観光協会理事などを務める榎本竜太郎さんである。
「川湯温泉は、強酸性水素を含む明ばん・緑ばん泉です。ph(水素イオン濃度)が1.7~1.9という日本屈指の強酸性温泉で、その威力は五寸釘を一週間で解かし消してしまうほど。温泉の成分・組成もすぐれていて、総鉄イオンや硫酸イオン、ナトリウムイオン、アルミニウムイオン、カルシウムイオンなどを多量に含んでいます。全国的に見ても希少な泉質ですから、温泉療法の観点からも注目されています」。そう話す声に、泉質に対する自信と想いがあふれている。

kinkiyu_1.jpg榎本さんは、昔から川湯温泉に入り続けている地元の人たちに効果的な入浴方法のリサーチをしつつ、自分でも入浴方法と効果の違いを探っている。

kinkiyu_2.jpg温泉街中心部にある「湯の川園地」には、アイヌ語でセセクペツと呼ばれる湯の川が流れている。硫化水素の匂いと湯けむりが情緒を醸す。

湯治の逸話は今もなお 生まれ続けている

青い鳥ではないが、近くにある幸福には気づきにくい。榎本さんが川湯温泉の素晴らしさを知ったのは、東京の旅行代理店で働くようになってからだ。
「添乗員として日本中の温泉地をめぐりましたが、はやり故郷の川湯温泉が一番だと思いました。身びいきかもしれませんが。匂いや湯触り、温感、そして皮膚から伝わってくるパワー。川湯温泉はすべてが力強いのです」。
榎本さんが川湯へ戻り、実家の温泉旅館に勤め始めたのは2011年4月。31歳の時だった。18年間ぶりに、また日常の湯となった川湯温泉は変わらず濃厚で、たびたび不思議と可能性を見せつけた。
榎本さん自身も、疲労回復効果の高さを実感している。しかし何より感慨深いのは、お客様が来館時と退館時で明らかな変化を見せてくれる時だ。
「ご家族に支えられて来られた高齢のお客様が、お帰りの際にはご自分で歩いて行かれる場面に初めて遭遇した時は驚きました。そうした劇的な変化ではなくても、"痛みが楽になった""皮膚の悩みが良くなった"と、お客様が笑顔を残してお帰りになられるたびに喜ばしく...。川湯温泉の力を感じます」

kinkiyu_3.jpg川湯温泉の源泉は、摩周湖の岩盤でろ過された千年前の水が伏流水となり、硫黄山の下をくぐり抜ける時に熱せられ、自然湧出したものと考えられている。

川湯温泉のデザイン、第一歩は
伝統イベントのリニューアル

そのままで名湯。しかし榎本さんはあえて言う。「将来的には、ただ浸るだけの温泉を変えていきたい。もっと多様性豊かな温泉利用や観光を模索したいと考えています」。今、榎本さんが描いているのは、「川湯温泉をデザインし、発信し、そしてもてなす」ことだ。
その足掛かりとして2013年度の冬、川湯温泉恒例の冬イベント「ダイヤモンドダストin Kawayu」のリニューアルに挑んだ。
厳寒の夜。川湯の森がイルミネーションで飾られるこのイベントは、榎本さんが生まれる前から続く伝統行事だったが、近年は刷新が望まれていた。そこで榎本さんら川湯温泉街で働く若者が中心となり、「どこにもない冬の情景を創ろう」と動き出したのだ。
まず榎本さんは、旅行代理店時代に学会等の手配で面識があった日本大学の照明工学研究者、山家哲雄氏の元を訪れ、「予算はありませんが、どうかお力を貸してください」と頭を下げた。話は進み、山家氏と日本大学生産工学部創生デザイン学科の学生たちが、ゼミプロジェクトとして「ダイヤモンドダストin Kawayu」のトータルプロデュースに取り組むこととなる。
そして生まれたのが、雪原の森に最大千個のスノーキャンドルをともす「雪あかりの森」や、人工的にダイヤモンドダスト現象を発生させライトアップする「レインボーダイヤモンドダスト」、「凍るシャボン玉体験」など、川湯の自然と調和する光の演出だ。その試みは観光客の心をとらえ、次年度以降は川湯温泉街全体が一丸となり、冬の新しい風物詩として育み始めている。
川湯温泉の「温泉と自然」は変わらないだろう。しかし川湯温泉は、人の熱意を受けてデザインされてゆく。

kinkiyu_4.jpg2013年冬からリニューアルした冬のロングランイベント「ダイヤモンドダストin Kawayu」。アカマツやミズナラ、シラカバなどの天然林と雪原を活かし、幻想的な世界を演出した

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川湯温泉地区旅館役員、(社)摩周湖観光協会理事
榎本 竜太郎 Ryutaro Enomoto

(社)摩周湖観光協会理事、(社)摩周湖観光協会施設委員会委員長(2015年現在)。
1980年、北海道弟子屈町川湯生まれ。川湯小学校卒業後、大阪府のPL学園中学校・高等学校へ進み軟式野球部に所属。中央大学卒業後、東京の旅行代理店を経て、2011年に「お宿 欣㐂湯(きんきゆ)」を経営する(株)川湯プラザホテルへ。現在同社の専務取締役。

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