釧路湿原の魅力1 まどろみの水の王国

釧路湿原の魅力1
まどろみの水の王国

少し湿った風が頬をなでる。釧路湿原のそこかしこに薄い霧のヴェールがかかっていた。立ちあがる草の匂い。朝の静寂の中で、湖沼や蛇行する川を覆うように、ヨシの茂る茫々たる大地が“浮かんでいる”。草地の下には水の世界があり、そこから絶えず霧が立ち上がる。ここは、かつて海だったという。約4000年前、流入した砂によって湾が閉じられ、土砂や泥炭などが堆積する一方で海水が徐々に引いていき現在の湿原が形成された。今日、全国各地の湿原では開発にともなう地下水の汲み上げなどで乾燥化が著しい。しかし、釧路湿原はいまなお阿寒山系や屈斜路湖など周囲の丘陵地帯から豊富な水や地下水が注ぎ込み、世界でも稀な無数の生命を育む揺りかごになっている。面積220、7平方キロメートル。1980年に「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」(ラムサール条約)に日本第1号として登録された、日本最大の湿原である。ここに、一体どれだけの生物が棲んでいるのだろうか? 2、3のデータに当たってみればこうである。

哺乳類はエゾシカ、エゾリス、シマリス、キタキツネなど26種。 鳥類はタンチョウ、オジロワシ、オオジシギ、シマフクロウ、ハクチョウ、シマアオジ、アオサギ、カワセミ、アカゲラなど約170種。 昆虫類にいたってはトンボや蝶々など1000とも2000ともいわれ、両生類では絶滅危惧種であるキタサンショウオが特筆される。また魚類では、幻の魚として有名なイトウが減少したとはいえ生息している。 さらに、植物はミツガシワ、ヒメシャクナゲ、ワタスゲ、クロバナロウゲ、クシロハナシノブ、エゾリンドウなど名前も容姿も美しい約600種。

まだ淡い緑色の景色の中で、ちょっと想像をしてみたい。まもなく来る盛夏のある日、豊かな水量の釧路川や沼のほとりで、花々が咲き乱れ、虫すだき、魚群れ、獲物をめがけて野鳥たちが急降下を繰り返すさまを。むっとするような草いきれの中で、ここに棲むすべての生き物がいのちを燃やし、まぶしく輝く瞬間を。

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